警察の仕事は国民生活の安全を守ることだが、実際にどんな業務をしているかというとよく知らない。テレビの刑事ドラマを思い浮かべるが、もっと地道で緻密な作業があるのだろう。本書は長年警視庁鑑識課写真係を務め、その後タイ国家警察大佐として同国の捜査技術の指導に当たってきた著者の自伝的ノンフィクションである。生々しい犯行現場で、可能なかぎり正確に証拠となるべき痕跡や遺留品を撮影していく様子が紹介されている。犯罪捜査の第一線で活動する緊迫感が伝わってくる。