「面従腹背」。組織の一員として働く以上、だれでも多かれ少なかれその思いを抱えながら仕事に向き合っている。自分でよく考え、こうあるべきだ、こうしたいと思う人ほど面従腹背の度合いは大きくなるだろう。前川さんは文科省事務次官にまでなった人だが、人間としてどうしても譲れないところを持ち、なおかつそれを誠実に守り通そうとする勇気を持った人だと思った。現在は職を辞して吹っ切れたか、本書では存分に思いの丈を語っている。まさに現政権下での話である。政治家と官僚のせめぎ合いが具体的に語られていて興味深い。巻末のツイッターでの投稿記事「面従は一切なし Twitterなら何でも言える ほぼ独り言の腹背発言集」は、ここまで公表するか、身に危険が及ぶんじゃないか?と心配になるほど現政権を痛烈に批判する。
なちかつ
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