ある種のハチは、タマムシやゾウムシ、コガネムシの幼虫などの獲物を麻痺させてそこに卵を産みつけ、孵化した幼虫の餌にするという。獲物を仕留めるとき殺してしまっては幼虫がさなぎになるまでの間の食料にならないので、神経が麻痺する場所だけを狙って針でさすのだそうだ。また、幼虫も獲物が最後まで生きていて新鮮な餌として食べられるよう、食べる場所の順番を守ってじょうずに食べるという。小さな虫に秘められた本能の不思議に驚く。そしてそれと同じぐらい、科学者が、こうではないかと予想を立て、粘り強く観察を続けて、一つ一つ謎を解き明かしていく姿に感心する。原点は“なぜ?”という知的好奇心、こだわりだ。人並みはずれて“なぜ?”を持てること自体が、科学者の資質・才能であると思った。
図書館では、ファーブル昆虫記全8巻そろっています。