特別養護老人ホームと宅老所の現場からの実にリアルな報告。ぼけたおばあちゃん、おじいちゃんが続々登場する。4コマまんが風のユーモラスな挿絵と明るい文章で笑ってしまうところもあるが、読み終わってみるとずしんと重い。だれにでも訪れる老いと死を身近なこととして考えさせられた。80年、90年生きた人はみんな老いる。当たり前だ。そして亡くなっていく。どのように老い、死んでいくか、思いどおりにできることではなし。できれば「ぼけ」にはなりたくない。しかし、そうなるもならないも、老いるという当たり前のこと。「ぼけに障害を与えているのは社会のほうなんだ」と言い切る筆者の言葉に救われる。
なちかつ
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