まさに副題のとおり。著者は長年にわたって日本の認知症医療をリードしてきた。もの忘れ外来などで行われる口頭の検査も著者が考案したものである。認知症の定義は「成年期以降に、記憶や言語、知覚、思考などに関する脳の機能の低下が起こり、日常生活に支障をきたすようになった状態」という。認知症の本質は「いままでの暮らしができなくなる」という暮らしの障害だ。年をとれば誰でも認知機能は低下する、それは自然なことというとらえ方がまず第一だろう。認知症と診断されたからと言って、ある日いきなり別人になるわけではない。自分が認知症であることを周囲に言う、言わないはともかく、これからの社会が、認知症であることをさげすんだり、恥ずかしいと思わせてしまったりすることのないものでありたい。
なちかつ
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