はるかに遠いスペインのさらに辺境、アンダルシア地方。そして100年も前のこと。不思議なことに、読むほどにその田舎の素朴な情景が、淡い輪郭をもって浮かんでくる。いつもプラテーロと一緒に村や野山を歩み、やさしくプラテーロに語りかけている詩人は、どこか超然とした雰囲気を持っており、目に映る自然や村のようすを透徹した目で描き出す。今現在の自分からはるかに遠い遠いところへ連れて行ってくれるような本。