主人公の斗羽風汰は中学2年の男の子。いいかげんな性格の持ち主で、言葉づかいもなってない。でも、捨て犬を放っておけない優しい一面も。その風汰が5日間の職場体験である保育園へ行くことになった。楽そうだったから?担当の林田先生はてきぱき指示をくれる。特に真面目にやっているわけでもないのに、なぜか幼い子どもたちから慕われて・・。風汰の中に自分以外の他者を見る視点が育っていく。
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主人公の「坊っちゃん」が始めから終いまで「おれ」の一人称で語る。「おれ」のことを坊っちゃんと呼んだのは住み込み女中だった清(きよ)だ。親譲りの無鉄砲で子どものころから損ばかりしている「おれ」は、親兄弟からは冷遇されたが、清だけがおれを認め、期待をかけ、愛情を注いでくれた。人と衝突ばかりしている性格的にやや難ありの「おれ」が、まっすぐな自分らしさを貫けたのは、「おれ」を無条件で盲目的に認めてくれる清がいたからではないだろうか。話の筋そのものはおなじみの痛快ドタバタ騒動の連続だが、最後の最後で「清のことを話すのを忘れていた」などと照れてみせながら、その後の清との暮らしぶりを短く語って物語を閉めている。かすかなペーソスが漂う。
併せて、『文藝別冊 夏目漱石』に収められている水村美苗さんの論文「漱石と日本語と日本近代文学と日本」もおすすめ。国語としての日本語が成立しようとしていた時期に、作品を通して近代の意味を問うた漱石の「奇跡」について論じている。
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現代の沖縄が舞台の小学生少女たちの物語。主人公は勉強が苦手で自分の名前さえ漢字で書けない女の子大城珊瑚(おおしろさんご)、6年生。母親は福岡へ働きに出ており、祖母で民謡歌手のルリバーと二人で暮らしている。将来はルリバーのような民謡歌手になりたいと思っている。ルリバーには珊瑚に知られたくない秘密があった。それは自分の母親、珊瑚のひいおばあが貧しさゆえに那覇の遊郭に売られたジュリだったということ。沖縄の女、母娘4代の人生のつながり。わずか12歳の珊瑚はそのつながりを背負って生きている。珊瑚の友だちや東京から転校してきた2人の少女も沖縄での生活の中で大切なものに気づき、しなやかに成長していく。
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