著者の坂本菜の花さんは石川県出身。高校の三年間を遠く離れた沖縄の無認可学校「珊瑚舎スコーレ」で過ごす。本書はその沖縄でいろいろな人と出会い、いろいろな活動を通して考え、成長していった心の軌跡。
本文から。「(石垣島の自衛隊配備について)自衛隊はなぜここに配備されようとしているのか?同じ県内にいたはずなのに聞こえてこなかった、聞こうとしなかった現実。本島に帰って新聞を開くと、石垣や宮古という文字が飛びこんで来ました。実際の距離は変わらないけど、心の距離はどれだけでも変わるのだと思いました。」 「時々、どの情報を信じたらいいのかわからなくなるときがあります。そんなとき、私はあまり深く考えずに足を動かします。とりあえず、って気持ちで行ってしまいます。自分で見てきたことはものごとのすべてにはなりませんが、確実な一部です。そして帰ってきたときに、ものごととの距離が縮まっているのがわかります。」
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「面従腹背」。組織の一員として働く以上、だれでも多かれ少なかれその思いを抱えながら仕事に向き合っている。自分でよく考え、こうあるべきだ、こうしたいと思う人ほど面従腹背の度合いは大きくなるだろう。前川さんは文科省事務次官にまでなった人だが、人間としてどうしても譲れないところを持ち、なおかつそれを誠実に守り通そうとする勇気を持った人だと思った。現在は職を辞して吹っ切れたか、本書では存分に思いの丈を語っている。まさに現政権下での話である。政治家と官僚のせめぎ合いが具体的に語られていて興味深い。巻末のツイッターでの投稿記事「面従は一切なし Twitterなら何でも言える ほぼ独り言の腹背発言集」は、ここまで公表するか、身に危険が及ぶんじゃないか?と心配になるほど現政権を痛烈に批判する。
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なんとも罰当たりな書名だが、物騒な内容の本ではない。副題にあるように、医師が終末期の患者の家族、とりわけその子どもの立場から親の死とどう向き合うかを書いた本だ。不治の病、寝たきり、認知症・・、重くのしかかる介護の問題。親の死は誰にとっても特別なものだけに、それに直面したとき冷静な判断は難しくなる。死にゆく親も、看取る子も、少しでも心平穏にその時を迎えたいと思うなら、やっておくべきことはあるだろう。それはつまり、親とのつながりを見つめ返すことかもしれない。
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