昔から読み継がれている児童書の名作を読んでみました。
最初は、少し語調が古めかしい感じがするなあと思ってなかなかサクサク読めませんでした。
ところが、これは最後まで読むのは苦痛かなあと思っていたのに、
気が付いたらハマってました・・・!
物語は、ドイツの9年生の男の子達が暮らしている寄宿学校での話です。
男の子ばかりが暮らしているので、それはもう、女子には想像つかないノリが描かれていました。
突然、夜中に幽霊の行列のかっこうをした上級生たちがやってきて、
ベッドの周りを列をなして歩き、大きな袋から謎の粉をまき散らしてみたり・・・。
(粉の正体は、かゆくなる粉?らしいです・・・!)
はたまた、近くの学校の生徒と殴り合いの決闘めいたことまで・・・。
女性からしたら、なんだかバカバカしいノリなのですが、ゆかいな気持ちになって読めます。
この物語では、5人の男の子たちが主人公で、それぞれ悩みを抱えています。
それぞれの個性で、その悩みに向き合っています。その真摯な姿は、とても心を打たれます。
ああ、子どもたちは、こんなにまっすぐに真剣に
かけがえのない今という時を生きているのか・・・!
と、大人になった私たちが思い知らされるような力のある作品なのです。
私は、不覚にも、何度も涙がにじんできました。
私が心をつかまされたのは、マルティンという男の子のくだりです。
マルティンに起きたどうしようもない状況、
それに向き合って心がちぎれそうになっているマルティンの深い悲しみと
くじけないひたむきさ、思いがけない展開、
この一連のストーリーに心を奪われました。
読後感は、満たされた思いでお腹がいっぱいです。
このような作品を描いた、ドイツの作家ケストナー氏を尊敬します。
そして、かつてドイツのナチス政権下で焚書にあったこの本が、
今読めることを幸福に思います・・・。
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- 作成者:NCL編集部
- カテゴリー: おすすめ本棚