「生い茂る葉の間から色づいた果実がのぞいていたら、思わず手を伸ばしたくなるのが人情です。さっそくほおばれば、口に広がる甘さ・・。果実もまさに食べてもらうためにそこにあって、これほど自然で素直な出会いはありません。庭先園芸の楽しみは育てること自体が原点ですが、果樹の場合、その対価をその場で味わえる楽しみもまた原点の一つといえましょう。」こんなすてきな書き出しで、だれでもイチジク栽培ができますよと、その楽しみへいざなってくれる。読んでいくと、内容のわかりやすさもさることながら、穏やかでやさしい叙述に感心した。専門家が読者に知識を授けるというのでなく、自分の経験上こうしてみてはいかがですかという姿勢で貫かれている。また、研究者として生産農家への敬意も払われており、著者の人柄がしのばれる。
一般家庭でも鉢やコンテナを用いて栽培ができるようだ。挿し木で比較的簡単に苗がつくれるとのこと。挿し木の時期は・・、3月下旬が適期と書いてある。お急ぎください!
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石井桃子(1907~2008)が、まだ小学校へ上がる前の幼いころの記憶をつづった自伝・回想記。断片的な記憶とはいえ、明治の終わりごろの、幼な子の目に映った暮らしのようすが鮮やかに再現されていることに驚く。家の造り、家族一人一人のこと、近所の様子、四季折々の行事や遊びなど・・。100年以上も前のことなのに、なぜか自分自身の遠い遠い記憶が呼び覚まされて、懐かしい気持ちに包まれる。ていねいに描かれた挿絵、家の間取り図、近所の地図も読み手のイメージをふくらませてくれる。
石井桃子というと子どもの本という印象があるが、シニア世代にもおすすめしたい本。
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家族のあたたかさを描いた絵本。林明子さんの絵は正確さというより誠実さをもって、細大もらさず写実的に描かれていると思う。やわらかくあたたかみのある絵が強い個性を放っている。
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