なちかつ
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ぼうやとコイヌとヒヨコたち、みんな同じの小さい子ども。春が過ぎ、夏が過ぎ、コイヌもヒヨコもぐんぐん大きくなったのに、ぼくは小さいぼくのまま。いつもおかあさんに聞いてみる。「ぼくも大きくなるのかな」。「もちろんよ」とおかあさん。秋になり、コイヌもヒヨコもすっかり大きくなっておとなみたいだ。ぼくはならない、小さなまま。空気はだんだん冷たくなった。おかあさんがしまってあった厚手の服を出してくれた。その服を着てみると・・・・、大きくなるってこんなことだったんだ!
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思春期に入りかかった女の子の心の動きが巧みに描かれていておもしろい。ちょっとおませですれたような「あたし」が、「カッコわるいカノジョ」のことを少しずつ好きになっていく。その「あたし」の表情、とくに目つきの変わっていきようがおもしろいと感じた。
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物語の舞台は明治のころの東京。著者の少年時代の思い出が描かれていて、石井桃子の「幼なものがたり」にも似る。しかし、「幼なものがたり」が著者の子どもの頃の回想であるのに対し、この作品は子どもの世界をあさやかに描き出した自伝的小説になっている。和辻哲郎の解説に、“少年の頃の思い出を自伝的に綴ったこの作品には、不思議なほどあざやかに子供の世界が描かれている。しかも大人が追想した世界としてではなく、子供ごころの感情世界が子供の体験するままに描き出されているのである。漱石が未曾有の秀作として絶賛をおしまなかった名編。”とある。読んでみてまさにそのとおりだと感動した。
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