赤羽末吉さんはこの絵本を描きあげるのに7年もかかったという。お話に出てくる機織り機を描くために、東北地方はじめ各地の博物館を調べて回ったり、さらにその機織り機が使われていた時代、地方の人々の服装や暮らしぶりを調べたりしていたらそれぐらいの時間がかかったそうだ。なぜそこまで?、赤羽さんは「絵描きが、編集者に助けてもらいながら、七年かかってやっと一冊の絵本を作る。なんで不思議なことがあろうか。いいか、相手は子どもなんだぜ」と。“相手は子ども”、描かれた絵が本当かうそか子どもにはわからない。だからこそ、手抜きは許されない。ほんものを描く。そんな子どもへの誠実さ、プロ意識をもって作られた絵本をぜひ読んでみてください。
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この本は2007年から2019年まで「わかやま新報」に連載された筆者のコラムを単行本にしたもの。内容は、和歌山の歴史、文化、産業、教育、スポーツ、国際交流など多岐にわたっている。
筆者のやわらかな語り口に案内されて、ふるさと和歌山の時空を気の向くままあちらこちらと訪ねてまわる。すると何とも心地よい気持ちになる。それは、今まで知らなかったふるさとのよさに気づかされるから。県内のいたるところに、キラッ、キラッと光るエピソードがある。和歌山、なかなかやるじゃないか(意外?)。しかし、輝きを発しているのは、もちろん「人」だ。人のあらゆる営みにおいて、和歌山にもこんなに多くのキラッと輝いた先人たちがいた。そんな紀州人に出会う読書。
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「いきなはからい」、「いきな柄」、このきわめて感覚的な美意識はどんな要素から成り立っているか。その対極に位置する 野暮(やぼ)・無粋(ぶすい)とは?
哲学や思想の本というのは、その人があることがらについて深く考え、その到達点なり思考の過程を人に伝えるべく書かれた本である。読む方もたいへんだが、少しでも自分の考えがよく伝わるように書くという点で書く方もたいへんだ。「いき」や「風流」、「情緒」について、これほど深く考え抜いた人がいたということがまず驚きである。そしてそれを言葉で書き表すなど(筆者は図に示すことまでしている)、そんな試み自体そもそも「いき」か「野暮」か。半分もわからなかったけれど、実に綿密な思考と論の組み立てがおもしろかった。峻険な山に登るような読書をたまにはしてみようと思う方、どうぞ。
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