歴史認識のちがいからナショナリズムの衝突が生じることがある。また偏狭なナショナリズムが正しい歴史認識を誤らせることも。大切なのは真面目に積み上げられた研究成果に依ることだ。著者は歴史認識というデリケートな問題に対して冷静かつ誠実に向き合い、活動家としても慰安婦問題の解決にかかわってきた。この手の分野では相手を一方的に非難・攻撃する本が目につくが、こういう本をこそ読まなければならないと思った。たとえば、
「(東京裁判)戦後の日本国民は、東京裁判を、一方では東条などの指導者が裁かれるのは当然だとして(消極的であるにせよ)受け入れ、他方で東京裁判は勝者の裁きだと批判してきた。それでは肝心の自分たちは戦争とその責任の問題をどう考えてきたのか。自分たち自身による責任の追及と償いの責任をどう果たしてきたのか」
「(慰安婦問題)慰安婦問題とは、何よりも戦時中の日本人が犯した罪を、戦後の日本国民がどのように受けとめ、どのような姿勢で向かい合い、次の世代にすこしでもましな日本を手渡していけるか、という問題だと思うのです。つまり、問題は韓国を満足させられるかどうかということよりも、慰安婦制度とその犠牲者に対する日本自身の問題なのです」
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上質のナンセンスとユーモア。とても楽しい絵本。ルイスを丸のみしたかいじゅうが次から次へとさらに大きなかいじゅうに食べられて・・、お姉さんのサラはおかしな自転車でどんどこ追いかけていく。ルイスを助け出すことができるかな? 軽妙な日本語訳もお話の展開とぴったり合っている。声に出して読むともっとおもしろくなる。また、絵を注意深く見ていくと、次の場面につながるさりげないしかけが・・。最後はそれまでの場面ごとの場所がパノラマで描かれている。出てきたかいじゅうたちを全部見つけられるかな?
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警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た主人公の神場を中心に、正義と信念を貫こうとする警察官たちの矜持を描く。幼女誘拐殺人という重いテーマを扱った作品だが、悩み、迷い、弱さと強さを併せ持った人間性をあぶり出していて、読み応えがある。
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